研究概要 |
金融工学的手法であるリアルオプションを用いた原子力発電リプレースの経済性分析に向けて,平成22年度は査読付き論文5件,図書1件および16件の学会・国際会議発表を行った.本研究課題の成果は以下のとおりである. 前年度同様に,リプレースプロジェクトに注目し,既存プラントの廃止措置時点と新規プラントの設置投資時点にタイム・ラグ(すなわち,有限な廃止措置期間)や新規プラントの設置期間が存在するときの状況を考慮したモデルの拡張を行った.本研究では,準解析解の導出とモンテカルロ・シミュレーションによる解の導出を試み,同様の結果が得られることを確認した.本モデルによる主な分析結果は,プロジェクト価値に対するタイム・ラグと不確実性の影響が明らかになった点である.すなわち,将来の不確実性が大きい状況下では,リプレースプロジェクト価値に対するタイム・ラグの影響が小さいことがわかった. これらの研究成果は,日本原子力学会論文誌やReview of Financial Economicsに掲載されたことや,リアルオプション国際会議米国オペレーションズ・リサーチ/経営科学学会(INFORMS),日本オペレーションズ・リサーチ学会,日本リアルオプション学会等の国内外の学会・国際会議において発表され,有益な成果が得られたものと考えられる.
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