研究課題
【内容】平成24年度には、平成23年度に詳細検討を開始した、レアアース生産時の副産物であるトリウムの保管機能としての「トリウム銀行」について、トリウムの所有権や使用権の概念を付与することで環境保全性を担保すると同時に、核分裂性物質や核分裂生成物などの保管対象ごとに倉庫機能を分類することで核拡散抵抗性と放射性物質による環境汚染防止性とを高め、さらにトリウムと核分裂性物質の貸出機能により、保管を実施するインセンティブを設けた。「トリウム銀行」ならびに「原子力環境マテリアル戦略(NEMS)」で提示した外部不経済の内部化に不可欠となる費用回収メカニズムとして、「レアアース輸出国機構(Organization of Rare-Earth Exportation Countries : OREEC)」を検討した。OREECではレアアース輸出国がレアアースを輸出する際に追加的な費用(ThAX)を付加することで、レアアースの最終消費者、すなわち受益者がレアアース生産時に発生するトリウムによる環境汚染の防止コストを負担する。また、ウラン利用の結果として生成されるプルトニウムの量に制約されていたトリウムの利用量を能動的に拡張しうる方法として、先進的な加速器によるトリウムからのウラン233生産方法を評価した。本手法により、保管されるトリウムを能動的に消費しうる可能性も見出された。本研究で得られた成果は、国際会議で公表するとともに書籍としても刊行し、公衆への周知に努めた。【意義】持続可能な社会構築に必要なエネルギー技術に関し、それに用いられる材料・燃料・廃棄物を環境に対する負荷の多少で評価する方法論に加え、社会的に実施可能な在庫量を評価軸とする管理手法を提供する点に、本研究の意義がある。【重要性】持続可能な社会構築に用いられる材料を代表するものとして、特に重要なレアアースに関し、日本国外の地上資源からトリウムによる環境汚染を公平な費用負担で回避しつつ、安定的かつ継続的に実施する枠組みを提案しており極めて重要である。
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Journal of Sustainable Development of Energy, Water and Environment Systems
巻: Vol.1, No.1 ページ: 1-13
Nuclear Safety and Simulation
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Sustainability
巻: 4 ページ: 2399-2418
doi:10.3390/su4102399