研究概要 |
本研究では,近年発展が著しい非侵襲的脳機能計測技術をニューロマーケティング(ニューロエコノミクス)に応用することを主目的とし,その1つとして商品選好に関する基礎研究を行った. 本年度は,脳情報を用いた商品選好に関して,fNIRS (OEG-16)を用いて実験を行った.本実験で用いたfNIRSは小型であり,この小型計測機器で十分な精度の脳情報を得ることができれば,システム全体の小型化にも大きな貢献があると考えられる.実験内容は食べ物の画像を2回表示するシステムを作成し,それぞれの画像が提示されている時の前頭前野の脳血流量を計測した.予備実験として被験者7名に関して実験を行い,その分析結果に基づき22名の被験者に関して実験を行った(同時にアンケートも行った).その結果,多くの被験者において腹内側前頭前皮質において,好む食べ物が表示されたときに脳血流量が増加する傾向があることがわかった.しかし,全被験者において特定のチャンネルに反応があるのではなく,被験者ごとに反応するチャンネルが異なる(ただし,そのチャンネルは隣接している)ことがわかった.しかし,選好時に反応する脳部位をある程度特定することができたため,前頭前野全域を計測しなくとも,一部の部位を測定することで選好を判別できる可能性があり,これも,計測機器の小型化と同様,システム全体の小型化に大きく貢献するものであると考えられる.その他,同時に未知情報に関する脳血流量の変化や意思決定の操作可能性についての実験も行った.
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