研究概要 |
(1)本研究の目的,および本年度における研究目的 多品種少量工程では,品質を保証するためのデータに基づいた工程管理,すなわち統計的工程管理を行うことが困難である.一般的に,品種の切替え直後は製造条件の調節が行われ,しばらくして,一定の製造条件で生産される.これは品種切替え直後のデータは調整によって母平均が変化することを意味し,しばらくしてから一定した母平均になるわけである.ゆえに,従来からよく用いられる管理図による統計的管理は困難である.本研究の全体の目的は,このような多品種少量工程においても,データに基づいた品質管理・保証を行うための統計的データ解析法を確立することである.前年度の研究成果を踏まえて,本年度は,多品種少量生産でよく用いられている,フレキシブル・マニュファクチャリング・システムを導入した製造工程を対象とした.そのような工程では,全数自動測定であるため,データ数は少量生産であっても多く,多品種少量生産の特徴である様々にデータの母平均が変化する傾向が入り混じっている場合が多い.このような場合においては,データの傾向が変化する点を見つける解析法が,工程管理・改善に対して有効であると考え,この解析法について研究した. (2)平成22年度の研究実績 (1)データの傾向が変化する点を見つける解析法として,様々な直線トレンド(傾向)を含むデータに対して,直線トレンドが変化した時点を見つけるための統計的データを提案し,国際学会(査読付き)において発表した. (2)多品種少量工程では,データのばらつきが生産につれて変化する場合が多い.ばらつきの管理も必要である.しかし,(1)で示した研究対象とした工程では,データのばらつきを計算するとき,生産時点によって,計算に用いるデータ数が異なる.このような場合でも,ばらつきの変動の成分を精度よく求める方法について,平成21年度に引き続き研究し,その成果をJournal of Qualityに投稿し,掲載された.
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