研究概要 |
(1)研究目的,実施計画 本研究の全体の目的は,従来の統計的工程管理法では品質管理が困難とされる多品種少量工程においても,データに基づいた品質管理・保証を行うための統計的データ解析法を確立することである. 本年度は,多品種少量生産でさらに,品質を保証するためのデータがプロファイルで表現される場合の統計的工程管理について研究することが目的である.プロファイルとは,製品の形状や光透過率などのように関数的に与えられる多次元データである.また,多品種少量生産の実際を調査するために,(社)日本品質管理学会内に「多品種少量生産に対する工程管理に関するワークショップ」を立ち上げた.そこでの調査及び研究により,プロファイルデータの統計的工程管理には先行研究が存在するが,その方法には問題があることがわかり,その問題の原因を発見することができた. (2)平成23年度の研究実績 プロファイルデータは多次元データであるため,主成分分析及び多変量管理図を用いることが有用であることが知られている.しかし,主成分得点が無相関ではあるが明らかに関係性を持つという場合があり,多変量管理図は有用でない,という問題があることを発見した.シミュレーション研究を行ったところ,その状況における統計的工程管理法を提案した.本成果は,その成果を査読付きの国際学会(ANQ2011),(社)日本品質管理学会で発表した. プロファイルデータの解析には,回帰分析も役に立つ,その際に問題となるのが変数選択である.多品種少量生産の場合,データ数が小さいため従来の回帰分析では十分な精度が得られないことがある.製品や工程の特徴をデータ解析に組み入れることができるベイズ的変数選択法,新しい変数選択法として注目されているLassoなどの基礎的な研究を行い,その成果を査読付きの国際学会(ANQ2011),(社)日本品質管理学会で発表した.
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