研究概要 |
本研究では、品質工学(タグチメソッド)、特にパラメータ設計と伝統的な統計的品質管理とのアプローチの違い、平方和の分解によらないSN比の提案および2段階設計法の統計的な側面を中心に研究を行った。なお、本研究の成果の一部は、『クオリティマネジメント』誌の「問題解決のための品質工学:講座編パラメータ設計」(日科技連)として、2010年7月号から2011年3月号(全9回)に連載し、それらまとめた単行本として、2011年5月に『ロバストパラメータ設計』(日科技連)を出版した。研究成果は以下の通りである。 まず、パラメータ設計の画期的な実験として知られる「伊那製陶のタイル製造実験」を例にして、伝統的な統計的品質管理とパラメータ設計のばらつき低減のアプローチの違いについて議論した。 次に、パラメータ設計の理論を述べた。その基本原理は非線型の応用を利用した2段階設計法である。これは、まずSN比最大化の条件を制御因子の組合せを見出し、次にSN比に影響せず平均に影響する因子を目標値に合わせるというものである。特に、Leonらが提唱したPerMIAとその2乗損失関数に基づくパラメータ設計の特徴付けを行った。 最後に、2乗損失関数のような対称ではなく非対称な損失関数にもとづいたパラメータ設計を論じた。さらに、対数損失関数を含む非対称べき損失関数を導入し、その意味,平均損失最小化のためのモーメント条件などについて言及した。これにより、通常の2乗損失関数にもとづく田口のSN比やパラメータ設計の理論も明確化された。
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