本研究は、災害時のライフライン途絶を想定し、地域毎に異なるエネルギー・水需要と、地域内に実在するエネルギー・水資源賦存量および利用可能量を把握した上で、既存施設を活用したエネルギー拠点構築の具体像を提示し、エネルギー・セキュリティ面から見た地域の機能自律性評価手法の提案を目的とする。 平成21年度は、研究の中で基礎となる各種統計データと建物や用途地域等の地理空間情報をGIS(地理情報システム)上で整理した。公開されている統計データを整理するとともに、建物データや土地利用、用途地域等のDMデータは自治体より借用した。これらの情報を元に、既存施設を活用したエネルギー拠点候補地選定のため、スタディエリアにおいて公共的施設群の特徴を整理・分類した。具体的には、主に横浜市域において、対象施設の候補として、公的な防災関係機関等が入居する施設の立地と、業務担当範囲(施設圏域)を整理した。次に、エネルギー・水需要量を指標に市域を分類し、施設および都市活動の集積地区の抽出方法を検討した。また、エネルギー需要量の大きい都市活動の集積地は、地震時にも機能維持が求められ、地区のエネルギー負荷が高いことは要求性能の一つと考えられることから、熱負荷密度の高い20エリアを対象に、各地区を構成する施設を整理した結果、高い防災性能が要求される官庁、大規模文教施設、病院、区役所、大学等の公共的施設が立地する特徴が見られた。さらに、その施設規模や周辺施設の特徴等を整理し、連携型自立性向上方策を検討した。 また、平常時と非常時ともに機能を発揮する自律分散型エネルギー拠点構築のあり方と地域の機能自律性評価軸・評価手法の具体的検討に向け、防災面と環境面での有用性を示すための評価手法を検討し、基礎データを整理した。
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