本研究は、災害時のライフラィン途絶を想定し、地域毎に異なるエネルギー・水需要と、地域内に実在するエネルギー・水資源量を把握した上で、既存施設を活用したエネルギー拠点構築の具体像を提示し、エネルギー・セキュリティ面から見た地域の機能自律性評価手法の提案を目的とする。 平成22年度は、前年度に引きつづき、研究の基礎となる各種統計データと地理空間情報をGIS上で整理した。 これらの情報を元に、既存施設を活用したエネルギー拠点候補地選定のため、スタディエリアにおいて公共的施設群の特徴を整理・分類した。具体的には、防災関係施設が立地する地区の現況を把握するため、主に神奈川県域で条件を整理し、エネルギー・水需要量を指標に施設や都市活動の集積地区の抽出方法・地域類型化手法を検討した。熱負荷密度の高いエリアを、活動が活発で機能継続のニーズが高い地域と捉え、構成施設を整理した結果、高い防災性能が要求される官公庁、病院等が立地していた。次に、病院施設を対象に、設備概要と消費実態、防災対策に関するアンケート調査を実施した。病院施設は、設備容量・需要量が大きくエネルギー面的利用の中核となりうることから、病院を中核とした地区において、平常時と非常時ともに機能を発揮する分散型拠点の計画とシミュレーション評価を行い、設備の常用化や隣接施設との共用化により、防災性と環境性を向上できる可能性を示唆した。 上記のとおり、地域の機能自律性評軸・評価手法と地域エネルギーシステム像の提示に向け、評価手法を検討し、基礎データを整理した。さらに、太陽光発電等の再生可能エネルギー活用や蓄電に関する技術開発・社会動向調査を実施した。
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