研究概要 |
動的な亀裂進展解析を行うPDS-FEMの分散メモリ型並列計算コードを開発した.開発したコードを用いて行った,超音波による腎臓結石の粉砕(衝撃波砕石術,SWL)解析では,応力波と亀裂形状の観測結果が再現され,コードの有効性が確認された.なお,SWLの指導的研究者によれば,腎臓結石に生じる亀裂進展の3次元解析は本研究が初めてであるとのことで,研究のさらなる発展に関して励ましの声も頂いた.亀裂進展解析によって,腎臓結石の粉砕はせん断衝撃波によって生じること,腎臓結石背面に生じる窪みは背面への水衝突またはキャビテーションによることが確認された.津波荷重を受ける大きさ2.5m×2.5m,厚さ6cmまたは10cmのコンクリート壁に関する予備的な亀裂進展解析を行った.なお,解析の入力条件として,港湾空港技術研究所の大規模波動地盤総合水路(LHGF)で行われた,津波荷重を受ける実物大コンクリート壁の実験で計測された5か所の圧力履歴を用いた.解析されたコンクリート壁の前後両面に入った亀裂形状は実験で計測された形状とほぼ一致した.コンクリート壁が津波荷重を受ける際,壁前面は水で覆われてしまうため,実験ではコンクリート壁前面の亀裂進展を把握することができなかったが,亀裂進展解析によってコンクリート壁の両面に入る複数の亀裂の進展順序とその進展履歴を明らかにした.具体的には,壁裏面に亀裂が生じる以前に,壁前面で亀裂が大きく進展していることがわかった.まず,壁前面に入る初期亀裂はコンクリート壁下部に半円状または三日月状の損傷を与え,その後に生じる壁背面の亀裂は,半円・三日月状のコンクリート片を小さな破片に砕きながら,コンクリート壁上部に向かって枝が伸びるように進展する.このような予備的な解析をもとに,実験に用いる圧力ゲージ数の増加と圧力ゲージの最適な配置を提案した.
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