研究概要 |
本研究の目的は,地盤材料の剛性等を部分的に変化させ材料の不均質性と構造異方性を導入した場合に,地盤-構造物系の動的な変形挙動がどのように変化するのかを調べ,設計者の意図した変形挙動を導くことができるかどうかを実験的に検証することである.地盤-構造物系のように外力に対し強い非線形性を示す材料を制御するためには,機械によるアクティブな制御ではなく,剛性や亀裂に代表される地盤内部の不均質性や異方性をうまく利用するパッシブな制御が有効なのではないかと考えられる.すなわち,異方性を逆手にとって,あらかじめ不均質性や構造異方性を導入することで,設計者の意図するとおりの変形モードを得ることができるものと考えられる. 実験計画上,まず含水比1%の湿潤珪砂7号による応力制御による中空ねじりせん断試験を実施し,水平、流れ盤、受け盤状の三種の構造異方性による変形・強度特性の違いを調べた。次に,構造異方性と斜面の安定性との関係について調べるため、乾燥砂による盛土を対象とした模型振動台実験を実施した。本研究で得られた結論を以下に示す。(1)中空ねじりせん断試験では、Dr=40%の緩詰め、Dr=70%の密詰めのどちらにおいても、流れ盤構造、水平構造、受け盤構造の順で強度が大きい。(2)模型振動台実験より、受け盤構造の安定性が水平構造,流れ盤構造よりも高い。また,盛土の崩壊形態は,すべての構造異方性において斜面先破壊であったが、受け盤構造の場合,すべり面が地表から深い地点に発生した。(3)構造異方性によって変形・強度特性が異なるのは、変形に伴う土粒子のかみ合わせと回転の仕方が異なるためであると推察されるが,定量的な評価は今後の課題である.
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