研究概要 |
本研究では,分化型地すべり前兆地形を抽出する手法を検討している。H21年度は,データの収集と地すべり前兆地形すなわち地すべり危険箇所を抽出するためのパラメーターの有効性について検討した。収集したデータは航空レーザー測量によりえら得たDEMと空中電磁探査により得られた比抵抗データである。 【航空レーザー測量によるDEMデータの解析】 a) 曲率(平均曲率,縦断曲率,横断曲率) 本研究では地形量として曲率と固有値比を計算した。本研究では,解像度5mのDEMを使用した。曲率として,斜面に沿った方向の縦断曲率,斜面を横切る方向の横断曲率,縦断および横断曲率を平均した平均曲率を算定した。曲率の分布より地すべりブロック末端部の地すべり危険箇所では凹凸が発達していることが分かった。その程度は,ピクセルベースで曲率の値を評価するのではなく,分布パターンとして捉えることが有効であると考えている(H22年度) b) 固有値比 固有値比とは,各ピクセル平面の法線ベクトルの方向について,隣接する3行3列のピクセルにおけるばらつきを表す値であり,地表面の粗さを示す指標である(Woodcock, 1977)。この指標をMcKean and Roering (2004)では地すべりブロックの地表面の粗さの指標として用いた。本研究では,末端地すべり危険性を評価するために使用できるかどうかを検討する。現段階では,計算のためのプログラムをコード化し,5mDEMを用いて固有値比を算定したところである。 【空中電磁探査による比抵抗分布】 c) 比抵抗分布図 比抵抗分布のパターンと現地の状況を比較した。 d) 地すべり土塊を縦断線沿いの比抵抗断面 粘土分や土壌水分が多いところでは基盤岩に比べて比抵抗値が低くなると考えられる。そこで,比抵抗の鉛直分布の変化量は地盤内の強度の変化を反映している可能性があると考え,断面内で鉛直方向の比抵抗の変化量を算定した。
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