研究課題
既報の知見より、トリインフルエンザに感染したニワトリのMHC遺伝子型がハプロタイプB13のホモおよびヘテロ接合体のものは生存率が1%であったのに対し、ハプロタイプB21のホモおよびヘテロ接合体は生存率が98%であったことから、MHC領域にトリインフルエンザ抵抗性遺伝子が存在する可能性が高いと考えられる。本研究ではMHCハプロタイプB13とB21のMHC領域のリシークエンスを行い、両ハプロタイプ間の多様性を明らかにし、トリインフルエンザ抵抗性遺伝子を同定、その機能を明らかにすることを目的とした。B13およびB21のKIGC1~C4遺伝子までの約160kbの塩基配列を決定し、比較したところ、TRIM7.2またはLAO遺伝子に過去に起きた組み換え点が存在し、MHCハプロタイプの遺伝的連鎖領域は少なくともLAO~C4遺伝子までの約130kbに絞り込まれることを明らかにした。さらに、B13とB21間で比較し、この領域に含まれるアミノ酸変異を伴う非同義置換のSNPを検索したところ、LAO、TRIM7.1、TRIM39.2、TRIM27.2、TRIM39.1、TRIM27.1、GNB2L1、BTN1、Blec2、TAPBP、BLB2、DMB1、DMB2、BF1、TAP1、TAP2およびBF2の17遺伝子がトリインフルエンザウイルス抵抗性遺伝子の候補として絞り込まれた。これらのうち、機能的ドメインとしてのアミノ酸変異を精査したところ、TRIM27.2のSPRYドメインにおいて3ヶ所のアミノ酸置換が認められた。これらの変異はタンパク質の二次構造のαヘリックスおよびβシートを破壊する傾向があること、霊長類においてTRIM遺伝子の一つであるTRIM5αはHIVウィルス感染と関連が報告されていることから、TRIM27.2のSPRYドメインはウィルス感染との関連する可能性が考えられた。
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