研究概要 |
目的である有用熱帯作物キャッサバの遺伝子発現の概観を把握するため、これまでの研究活動において当方が収集したキャッサバ完全長cDNAの両端読み配列データ(35,400配列)および公共データベースGenBankから獲得できたメッセンジャーRNA(以降、mRNA)の全長および部分長読み配列データ(41,166配列)をカスタムオリゴマイクロアレイのプローブデザインの出発データとしたカスタムオリゴマイクロアレイを作製した。 更に詳細な遺伝子発現の概観を理解するため、今年度は、CAGE (Cap Analysis Gene Expression)法を用い、あらかじめデザインしたプローブにとらわれない広範囲な細胞内転写産物の発現の理解を目的としたデータ収集を行った。キャッサバ品種MTAI16を摂氏5度(低温)、28度(通常)、37度(高温)で育成した植物体の葉と茎を対象に全RNAを抽出した。品種ECU72からも同様に生育させ、同部位よりRNAを抽出した。合計6種のサンプルに由来するCAGEライブラリを作成した。作成したCAGEライブラリから獲得した完全長cDNAの5'端読み配列(タグ)をおよそ1000万配列を獲得した。これをキャッサバゲノム塩基配列データへマップすることで、各サンプル間の比較をおこなった。 本課題を通じて、収集、生産、整理したデータについては、ウェブブラウザで閲覧可能なデータベース(Cassava Online Archive, URL : http://cassava.psc.riken.jp/) を構築し、順次、データを公開した。このデータベースは、閲覧に際して、ユーザー登録、費用を一切問わないものであり、植物ゲノミクス、特にキャッサバおよび周辺植物種の研究推進に貢献すべく開発したものである。
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