研究概要 |
本研究では、マイクロアレイ解析において、特に発現変動遺伝子検出を再現性・感度・特異度高く行うための手法の開発およびガイドラインの策定を目的として研究を行った。平成23年度は、米国FDA主導のマイクロアレイ品質管理(MAQC)プロジェクトによって提案されたガイドライン「緩めのp値によるカットオフと倍率変化によるランキング」よりも「研究代表者が開発した発現変動遺伝子ランキング法WAD(Kadota et al.,Algorithms Mo1.Biol.,2008)」のほうが発現変動遺伝子レベルだけでなく高次の機能解析レベルでも(感度・特異度の高さを保ったまま)再現性が高いという平成22年度に得られた成果内容のままで論文発表を行うことができた(Kadota and Shimizu,BMC Bio informatics,2011), これまで一定数の研究者が米国主導のMAQCプロジェクトが2006年に提案したガイドラインに従ってマイクロアレイデータ解析を行ってきた。本研究で得られた結論は、MAQCのデータセットおよび再現性の評価基準に基づいて得られたものでる。したがって本研究で得られたガイドラインは、無数に存在する発現変動遺伝子検出法からよりよい解析結果を導くための手法選択におけるMAQCガイドラインを完全に凌駕するものである。このガイドラインを採用することにより、比較したい二つのサンプル間で発現の異なる候補遺伝子をランキングした結果の感度・特異度の向上が期待される。また、大規模に多くの研究機関で同様な状態の二群間比較を行う場合に、候補遺伝子ランキング結果のばらつきが大幅に減少することが期待される。
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