薬物包摂人工核酸アプタマーを改変設計することによって、薬物を環境に応じて包摂したり放出したりするようなインテリジェント核酸の作製を行った。薬物担体にはアプタマーはサリドマイド誘導体およびカンプトテシン誘導体を包摂するものをそれぞれ作製し実験に用いた。サリドマイド誘導体およびカンプトテシン誘導体は、市販のヒドロキシフタル酸無水物およびカンプトテシンから、それぞれ5~6段階の反応で得ることができた。カンプトテシン結合アプタマーは、アフィニティゲルを用いた試験管内選択法で得られた。配列解析により、得られたアプタマーの多くがグアニン塩基を多く含むものであることが判った。また、表面プラズモン共鳴法等による測定より、それらのアプタマーの標的分子に対する結合親和性(Kd)が概ね1μMであることが判った。二次構造予測に基づく配列の組換えによって与えられたいくつかの連結アプタマーの候補の中から、連結で結合活性が損なわれずに保持され、且つ、酸性条件下において有意に結合活性が低下するものを選び出た。さらに、それらをキャリア担体に担持させた後、薬物キャリアのヌクレアーゼ耐性等の向上や機能拡張を狙って、酵素的ポストモディフィケーションにより、ポリメラーゼ反応による修飾ヌクレオチドの導入を行った。担持ヌクレオチドの末端配列や修飾ヌクレオシド三リン酸の化学構造によって導入効率が有意に変化することが判ったが、用いるポリメラーゼを改変することにより、ある程度改善されることが確認された。
|