沖縄県備瀬海岸で採集したシアノバクテリアLyngbya sp.からHela S_3細胞に対する細胞増殖阻害活性を指標として活性物質の探索を行ったところ、多くのトアミノ酸及び異常アミノ酸を含む新規鎖状ペプチド Bisebromoamide及びNorbisebromoamideを単離した。 Bisebromoamideは Hela S_3細胞に対して強力な細胞増殖阻害活性(IC_<50> 40ng/ml)を示すが、どの部位が特に細胞毒性に重要であるかは明らかになっていない。そこでBisebromoamideの生物活性発現に必要な部位を明らかにすることを目的とし、Bisebromoamideの誘導体の調整、生物活性の評価を行った。具体的には、Bisebromoamideのケトンを還元したアルコール体、ヒドラジンで修飾したヒドラゾン体、プロモチロシンのメチルエーテル体、脱ハロゲン化したデブロモ体をそれぞれ調整した。続いて得られた各種誘導体のHelaS_3細胞に対する増殖阻害活性を検討した。その結果、それぞれの誘導体のIC_<50>値はほぼ変化せず、強力な細胞毒性は保たれたままであった。この結果から、Bisebromoamideのケトン部分やフェノール性水酸基、Br基は活性に影響しないということが明らかになった。したがって、これらの官能基を足掛かりとしてビオチンなどの機能性分子を導入し、プローブ分子を合成することが可能であることが明らかになった。
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