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2009 年度 実績報告書

全国長期モニタリングデータを生かした生物多様性動態のモデル化

研究課題

研究課題/領域番号 21710246
研究機関独立行政法人農業環境技術研究所

研究代表者

天野 達也  独立行政法人農業環境技術研究所, 生物多様性研究領域, 研究員 (10442724)

キーワードモニタリングデータ利用 / 個体群動態指数
研究概要

生物多様性の損失が依然として続く中、その動態の現状を把握することで適切な対策を提案することが強く求められている。日本でもこれまで様々な種を対象とした全国モニタリング体制が整備されてきたが、蓄積されたデータを統一的にモデル化し、生物多様性動態を詳細に把握する試みはほぼ皆無であった。このモデル化を阻んできた大きな障壁のひとつが、全国規模で多数の調査員によって得られたデータに特有な欠損値や大きな測定誤差の存在である。そこで本研究では、階層ベイズモデルに代表される先端的な統計手法を用い、様々なモニタリングから得られる情報量の違いに合わせて生物多様性動態の傾向を把握する手法を確立することを目的とした。
まずNPO法人バードリサーチによって全国モニタリングデータのデータベース化が進められているシギ・チドリ類を対象に、1975年から35年間に渡って100カ所超の調査地で記録されてきた個体数カウントデータを整理し、調査地点・調査年による個体数の違いを考慮した階層ベイズモデルを適用することで42種の個体群動態を表す個体数指数を作成した。推定された個体数指数から、各種において過去10、20、30年間における個体数変化率を算出することで、秋期には16種、春期には12種がいずれかの期間において有意な減少を示していることを明らかにした。
また、環境省及び日本雁を保護する会によって1980年代から全国で渡来個体数、標識個体の有無が1記録されているマガンと、英国において同様のデータが蓄積されているオグロシギを対象とし、階層ベイズモデル(空間状態モデル)を適用することで、個体生存率、繁殖成功度など個体群動態を理解するために必須のパラメータ推定を行った。
また鳥類の長期的な個体数変化に影響を及ぼす要因を検討するため、水田地帯に生息するサギ類を対象とし、採食成功度と繁殖成功度の関係を明らかにする野外調査を開始した。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Conserving bird species in Japanese farmland : Past achievements and future challenges2009

    • 著者名/発表者名
      天野達也
    • 雑誌名

      Biological Conservation 142

      ページ: 1913-1921

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Assessing population changes from disparate data sources : the decline of the Twite(Carduelis flavirostris)in England2009

    • 著者名/発表者名
      Raine, A.F., Brown, A.F., Amano, T., Sutherland, W.J.
    • 雑誌名

      Bird Conservation International 19

      ページ: 401-416

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 水田を利用する鳥類の個体数変化と広域観測2009

    • 著者名/発表者名
      天野達也
    • 雑誌名

      生物の科学遺伝 63

      ページ: 51-55

  • [学会発表] イギリス全土における250年の記録から推定された植物の開花時期指数2010

    • 著者名/発表者名
      天野達也, Smithers, R.J., Sparks, T.H., Southerland, W.J.
    • 学会等名
      日本生態学会第57回大会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20100300
  • [学会発表] Hierarchical models for smoothed population indices : the important considering among-site variations in population trends2010

    • 著者名/発表者名
      Tatsuya Amano, Hiroshi Okamura, William J.Sutherland
    • 学会等名
      18th International Conference of the European Bird Census Council
    • 発表場所
      Caceres, Spain
    • 年月日
      20100300
  • [学会発表] 鳥類の個体数変化を監視するフレームワーク:シギ・チドリ類を例として2009

    • 著者名/発表者名
      天野達也, 神山和夫, Tamas Szekely, William J.Sutherland
    • 学会等名
      日本鳥学会2009年度大会
    • 発表場所
      函館
    • 年月日
      20090900
  • [図書] 第7章生物個体数の指標化法, 保全生態学の技法2010

    • 著者名/発表者名
      天野達也
    • 総ページ数
      22
    • 出版者
      東京大学出版会

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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