研究課題
本研究はソ連時代の中央アジアに関する情報、ステレオタイプ、文献などを批判的観点から再検討することであった。ここでいう批判的観点とは、ソ連時代のおける人々の社会参加、ものの見方、国家に対する姿勢などに関して、従来の理解とインタビューによって現れた現状とを照らし合わせ、相違を追及することである。そして、もう一歩踏み込み、ソ連時代のウズベクとキルギス社会について誤解があったとすればそれはなぜなのか、そのような誤解がどのように形成されたのかを探る。その研究手法は、インタビュー対象者がソ連時代における人々の生活について述べたことをもとに、当時の日常を再現する一環として、「参加型」の研究を試みることであった。インタビューの際に様々な疑問をなげかけ、回答者に刺激を与えた。これは、著者と研究協力者が、インタビューに応じた人たちと共にソ連時代の中央アジアにおける人々の日常生活の実態、問題点、利点を共同で考えることを意図している。その手法のコンセプトは、家族もしくは親戚、友人などによる内輪の人生話である。単に一人が語ることを皆で聞くのではなく、そこで交わされる話を聞き、インタビュー回答者や実際にインタビューを行う研究協力者が話し合いに参加する。そのような仕組みを通して、ソ連時代の日常生活と人々がどのような考え方のもとで生きていたのかをより明確にしていく。話し合いの成立過程と仕組みについては次節で詳説する。結果として、75人の対象者のインタビューが実施された。本書では以上三つの手法が研究の中心となっているが、それらを補完するために、インタビューの観察(テープと個人的に参加する)や、インタビュー内容の時期に関連する資料の収集・分析も行った。
すべて 2010 2009
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)
Studies into Post-Colonial Societies in Asia
ページ: 97-133
IHP VII, Technical Document in Hydrology, Beijing : UNESCO No.2
ページ: 53-67
Kyoto Bulletin of Islamic Area Studies Vol.3, No.1
ページ: 108-138
ワセダアジアレビュー(早稲田大学アジア研究機構) N.6
ページ: 10-15
『多元的共生を求めて』(宇田川妙子編)(東信堂)
ページ: 162-174
『日本の中央アジア外交』(宇山智彦、クリストファー・レン、廣瀬徹也編)(北海道大学出版会)
ページ: 97-114
Central Eurasian Studies Society Review
ページ: 39-42