アフリカにおいて集約農業と作物の遺伝資源保全を両立させる地域社会の特徴を明らかにする一環として、東アフリカ高地のバナナを基盤とする生業システムの比較研究を開始した。平成21年度は、日本、ウガンダ、ルワンダにおいて文献資料の収集と現地の予察をおこなった。 まず日本では、主に当該地域における農業と流通に関する論文を集めるとともに、日本のバナナ研究ネットワーク(「バナナの足」研究会)のメンバーとの三回の会合をとおして研究情報を交換した。また、国際農林業協働協会の活動への参加や協会主催セミナーの講演をとおして、主に農学の研究者と情報を交換した。その成果の一部は、共著『ウガンダの農林業』『アフリカの料理用バナナ』において執筆した。 ウガンダでは、国際研究機関Bioversity Internationalおよびウガンダ政府バナナ研究プログラムの研究協力者と打ち合わせをした。そして、ウガンダ西部の農村の予察を行い、ウガンダ中部との資源利用の違いに関する観察をおこなった。また、首都の研究機関・統計局を訪問して二次資料を集めた。 ルワンダでの農村調査に関しては、日本人経験者が極めて少なく日本国内での情報が限られていた。そのため、ルワンダでの調査環境を強化することに重点を置いた。首都キガリと地方都市ブタレの研究機関で現地研究者と打ち合わせをするとともに、調査許可証、地形図と航空写真、統計資料の入手方法を探った。また国内を予察し、北部および東南部において平成22年度以降に調査する地域を選定した。それらの研究活動を通して、多様な作物の栽培、農牧の複合的利用形態、帰還民との混住状況といった事柄に焦点を当てる研究の必要性が浮き彫りになった。
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