アフリカにおいて集約的農業と作物の遺伝資源保全を両立させる地域社会の特徴を明らかにする一環として、東アフリカ高地のバナナ栽培を基盤とする生業システムの比較研究を平成21年度よりおこなっている。平成22年度は、日本、ウガンダ、ルワンダにおいて文献・調査資料の収集・分析とともに現地調査も実施し、研究途中の成果を発表した。 まず日本では、平成21年度に引き続き対象地域における農業に関する論文を集め、農村における数十年間の歴史と世帯の生成に着目しながら、これまでの現地調査データも含めて多角的な分析を施した。その結果を、ウガンダ中部における結果を講演および東京外国大学アジア・アフリカ言語文化研究所での共同研究で報告するとともに、カナダでの第12回国際民族生物学会でもポスター発表をおこなった。また、京都大学地域研究資料センターから出版された著書(単著)の一部に含めて発表した。 ウガンダでは、2010年8月月に中部の農村に住み込み調査をおこない、2005年の現地調査結果と現在の状況の違いを確認しながら聞き取り調査を実施した。また、首都のカンパラのマケレレ大学環境自然資源研究所(Makerere University Institute of Environment and Natural Resources)でセミナー発表をおこなったことを契機として、研究所の関係者からウガンダの環境に関わる学術情報の提供を受けた。 ルワンダでは、農業省、農業研究所、大学関係者における関係者との情報交換を通じて、政府による農村調査の許可を早期に取得することが困難な現状であること判明した。そのため、首都キガリの政府機関と書店、および地方都市ブタレのルワンダ国立大学と農業省研究所において文献調査を実施した。また、現地研究者からの情報収集と都市市場の視察を通じて、農村の現状を間接的に把握した。
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