本研究は東アフリカ、タンザニア南部の住民参加型農村開発に焦点を当て、農村開発のもとで発現する地域住民の主体的・創造的な対応を長期的・実証的な調査研究により解明することを目的としている。とくに開発を推進する側が意図しない、いわば「副次効果」とみなされていた部分にこそ住民の主体性・創造性が反映されるとの考えにたち、その実態を明らかにするとともに、それが開発実践にフィードバックされることの重要性を提起する。 21年度はこの内容に関連する以下のことを実施した。 1. 関連文献のレヴューをおこない、本研究の理論的展開の方向性と妥当性、農村開発の現場の動向について国内学会(1)・市民講座(1)・公開講座(1)・研究会(1)・招待公演(1)において発表した。 2. 研究と農村開発実務の架橋をテーマとする研究会を立ち上げた。およそ2週間に1回のペースで開催し、この研究会をとおして関心を同じくする研究者、開発実務者との情報の共有を図った。 3. 上記1の発表に関する英語論文1編(African Study Monographs)と日本語論文2編(法政大学紀要「人間環境論集」・京都大学GCOEプログラムワーキング・ペーパー)を作成した。 1~3の取り組みによって、研究の方向性の妥当性が確認され、今後実施する予定の現地調査の意義を確認できた。とくに学会活動では、分野横断的な学会で発表することで、学際的な視点から研究内容を検討することができた。また、市民講座における発表は、農村開発における市民団体との協働のアイデアを考えるきっかけとなった。
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