研究課題/領域番号 |
21710259
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小林 知 京都大学, 東南アジア研究所, 准教授 (20452287)
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キーワード | 上座仏教 / 宗教と社会 / 東南アジア / カンボジア / 文化人類学 / 地域研究 / 地域情報学 |
研究概要 |
平成23年度は、本研究課題が主な調査地とするカンボジア中央部のコンポントム州において、平成21年、平成22年に続く3度目の寺院調査を行った。すなわち、前年度までに2年間にわたって訪問調査を継続した87の寺院施設を今年度も再訪し、寺院の基本的な状況と、そこに止住する僧侶、見習僧、俗人女性、俗人男性の経歴を聞き取った。昨年に続き、同一寺院を3年間にわたって訪問調査したことで、カンボジア農村部の寺院の活動実態を考察する上での貴重なデータを積み上げることが出来た。他方で、本研究課題が関心を持ち、昨年度は予備的な訪問調査を行ったストゥントラエン州では、まとまった調査を実施できなかった。同州の雨期の道路交通環境が予想以上に劣悪であったことと、現地の調査協力者のスケジュールに調整がつかなかったことがその理由である。以上のように、平成23年度の研究活動は、現地調査の点で一部残念な判断を下したが、その一方、研究成果の発信を大きく進めた。すなわち、International Association of Buddhist Studies,日本宗教学会、Association for Asian Studiesといった国内外の学会の研究大会に参加し、カンボジア農村部の寺院施設についての研究発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
中心的な調査地において、現地調査にもとづく一次データを順調に積み上げてきた。予定した調査地の一部では調査を断念せざるを得なかったが、現在までに取得済みのデータ量は膨大である。よって、カンボジア仏教の再生と変容の総合的研究という課題を追求する上で大きな問題にはならない。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度の活動としては、データを新たに増やすことよりも、その分析と成果発信を推しすすめることを重視する。そのために、研究関心が近い他の研究者との討議の機会をこれまで以上に増やす。ただし、現地調査は引き続き必要である。特に、データ分析の過程で生じた疑問や補足情報の確認を行う調査を実施することによって、最終的な研究成果のとりまとめを、バランスのとれたものとする。
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