本研究では、女性労働力率の低下する育児期の男女労働者の育児の現状を把握することにより、男女労働者のワークライフバランスの実現に向けた対策を検討することを目的として、保育園の保護者(男女労働者)を1年間追跡調査し、その保護者が、子どもの急病等育児のために取得した休暇や対応方法の現状および保育園の対応方法を、男女別、子どもの年齢(月齢)別、保育園入園年数(月数)別等により明確にし、今後の適切な育児支援のありかたを検討し、今後の有効な育児支援策の提言をすることを目的とした。本目的達成のため、本年4月より、調査協力に承諾いただいた保育園にて追跡調査を開始した。調査協力保育園の全保護者に対して、文書にて調査協力依頼をし、同意の得られた154名に対して「遅刻・早退・お休み記録カード」を配布し、子どもの保育園の遅刻・早退・欠席理由とその時の対応方法について記載していただいいている。(3月31日まで)また、遅刻および早退については、保育園側の対応を保育園の記録ノートにて確認している。(3月31日まで)さらに、11月には同保育園の全保護者269名に対して無記名自己記入式のアンケート用紙を用い、ワークライフバランスや育児支援に対する現状や要望等を調査した。アンケートの回収数は83で、回収率は31%であった。アンケート調査の結果、充実した仕事を続けるために支障と思うものとして「育児」を挙げたものが約半数あった。充実した仕事を続けるために求めるものとしては、安定した雇用・安定した収入と育児施設の充実、夫婦間の協力、職場の意識改革などが挙げられた。これら調査結果については次年度論文として発表予定である。また、本年度末に追跡調査が終了したのち、次年度はその調査結果を元に、有効な支援策について保育園利用者(保護者)・保育園(保育士)・小児科医等と適切な育児支援のありかたを検討する。
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