本研究は、沖縄の出生力変動と国際結婚との関係性、すなわち変容する家族の再生産の諸相をジェンダーの視点から探究するために、高い出生水準を示す宮古郡多良間村をフィールドに、人口・出生動向の変化と沖縄男性の結婚難、それに伴う商業化された国際結婚の増加、沖縄男性と結婚したアジア移住女性をとりまく社会状況を考察した。現地男性と国際結婚したベトナム人・フィリピン人移住女性11名の聞取り調査からは、本人及び夫の社会的属性や生活状況、商業的斡旋を介した多良間への移住、出国時の前借金の存在等、婚姻過程で移住女性が自律性を奪われる回路が明らかとなった。一方で、移住女性に対する行政の実態把握や支援の取組、民間での社会的支援はほぼ皆無となっている。
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