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2012 年度 実績報告書

時間現象の倫理学的探究―ハイデガーとレヴィナスの相互照明

研究課題

研究課題/領域番号 21720002
研究機関弘前大学

研究代表者

横地 徳廣  弘前大学, 人文学部, 講師 (00455768)

研究期間 (年度) 2009-04-01 – 2013-03-31
キーワード時間 / 超越 / 倫理 / 世界 / 顔 / いき
研究概要

この世を過ぎ去った無数の人びとがいた。そして私は偶さかに生き残る。
二度にわたって焦土と化した二十世紀ヨーロッパの、ありふれた存在の光景であったろう。誰もが、大戦の生き残りだった…と言いうるからである。また、その地で哲学する者たちには「世界という大きな書物」(デカルト)の読み解き方を一変させた出来事であった。
二つの大戦を経験したマルティン・ハイデガーの思考圏でふたたび見えやすくなったことであるが、人間は、ないこともありえた世界に人間は偶さかに生まれ落ち、偶然事の尽きることなき連鎖から逃れえない。ショアーを知った哲学者エマニュエル・レヴィナスは、そうした容赦なき偶然が生んだ焦土を目前に〈顔のエティカ〉を提示する。とはいえ、かつて心酔したハイデガー哲学に対する批判を通じてのことであった。
日本に目を向けよう。「遇うて空しく過ぐる勿れ」という一文で『偶然性の問題』(1935年)という哲学書を結んだのは、ヨーロッパ遊学から帰国して京都大学の哲学教師となった九鬼周造である。レヴィナスと同様、ハイデガーから強い影響を受けた九鬼であるけれど、偶さかの出会いに結ばれた二人が、一種の輪廻的時間から、その共同存在にそなわる意味を了解することに注目し、ハイデガーとは異なった道を進んでいる。この道の出発点には、『「いき」の構造』(1930年)で示された〈いきのエティカ〉がある。それは、遊女と町人がおりなす善美な共生のエティカであった。
本研究では、こうしてレヴィナスと九鬼がそれぞれ独自に展開した倫理学の成り立ちを照らし出すため、ハイデガー『存在と時間』を中心とした思考圏に属する「超越」概念を光源に選び、ハイデガー、レヴィナス、九鬼の哲学的思考を比較する共通地平を設定した。

現在までの達成度 (区分)
理由

24年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

24年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012 その他

すべて 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [学会発表] 九鬼周造とその母

    • 著者名/発表者名
      横地徳広
    • 学会等名
      日本比較文化学会、中部支部第3回研究会
    • 発表場所
      静岡労政会館
  • [学会発表] アメリカ公民権運動の抵抗戦略――スマート・パワーの観点から読み解く――

    • 著者名/発表者名
      横地徳広
    • 学会等名
      戦略研究学会、第10回大会
    • 発表場所
      明治大学
  • [図書] 生きることに責任はあるのか――現象学的倫理学への試み――2012

    • 著者名/発表者名
      横地徳広ほか編著
    • 総ページ数
      xvii+305
    • 出版者
      弘前大学出版会

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公開日: 2014-07-24  

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