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2010 年度 実績報告書

「新たなヒューム主義」のもとでのルール‐責任概念

研究課題

研究課題/領域番号 21720004
研究機関鹿児島工業高等専門学校

研究代表者

中村 隆文  鹿児島工業高等専門学校, 一般教育科文系, 講師 (40466727)

キーワードヒューム / コンベンション / 正義論 / 動機付け / 行為論
研究概要

本年度は、昨年度に収集した文献・資料をもとに、「現代ヒューム主義」と呼ばれる思想について、正義論と道徳心理学の両面から分析した。正義論におけるヒューム思想はときに功利主義思想の源流とみなされがちであるが、それはヒュームの正義論の根底にあるリベラリズムが見逃されているためである。この点では、ヒュームの「コンベンション」を相互期待効用実現環境として契約論的にみなすゴティエ流ヒューム主義の方がヒューム思想のエッセンスを汲んでいるといえる。ただし、そこにおける世界観・人間間はヒューム本来のものとズレがある。ヒュームは人間の動機・行為について、合理主義的契約論者よりも多角度的に捉えていたのであり、この点から、道徳心理学におけるヒューム主義の分析は、社会哲学におけるヒューム主義的リベラリズムとの接合・補強の役割を果たすものであるように思われる。
そこで、道徳心理学におけるヒューム思想の意義というものを測るべく、メタ倫理学・道徳心理学を専門とする若手研究者数人で集まってワークショップを開催した。まだまだ議論を掘り下げる余地があるものの、現代ヒューム主義思想において見過ごされているヒューム独自のエッセンスをすくい上げることで、現代行為論におけるヒューム主義vs.反ヒューム主義の対立的議論の行き詰まりを解消し、あらたな行為論モデルを形成してゆける光明をみいだすに至った。
以上の研究活動から、従来のヒューム像を超えたヒューム主義、そして、これまでのヒューム主義では語られにくかった社会的正義というものを、ヒューム本来の意図を組み込みながら示すことが多少なりともできたように思われる。次年度は、本研究テーマの最終年度であるため、「コンベンション」という概念そのものへと焦点をあてながら正義・ルールを検証してゆきたい。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2010

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 契約論的合理性の限界-ゴティエの「ヒューム主義」の分析を通じて-2010

    • 著者名/発表者名
      中村隆文
    • 雑誌名

      法哲学年報 2009

      巻: 1巻 ページ: 159-167

    • 査読あり
  • [学会発表] 動機付けと実践理性について:「ヒューム主義」の罪2010

    • 著者名/発表者名
      中村隆文(企画責任者兼司会)
    • 学会等名
      日本倫理学会第61回大会ワークショップ
    • 発表場所
      慶応大学三田キャンパス(東京都)
    • 年月日
      2010-10-08

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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