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2009 年度 実績報告書

ジャック・デリダの思想における「テレコミュニケーション民主主義」の構築とその展開

研究課題

研究課題/領域番号 21720007
研究機関新潟大学

研究代表者

宮崎 裕助  新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (40509444)

キーワード民主主義 / 生政治 / デリダ / 暴力批判論 / ヨーロッパ / 動物論 / 脱構築 / デモクラシー
研究概要

本研究の初年度である21年度の研究実績は、以下の二つの視点から、民主主義論の展開へと接続されるデリダの政治哲学的論点を解明した点にある。
一つ目は、ヨーロッパ。ジャック・デリダの哲学的業績を広く紹介する目的で執筆された論考のなかで、ベンヤミンの『暴力批判論』を分析したデリダの『法の力』を取り上げ、民主主義の代表制にはらむ表象の機制がいかにヨーロッパの臨界点としてのファシズムの究極的な暴力へと通底していたかをデリダのベンヤミン論に即して解明した。
二つ目は、生政治。生政治は、フーコーやアガンベンらが主題化し、現代の政治哲学において非常へに影響力のある概念になっている。しかしデリダ自身はこの概念を積極的にとりあげようとはしなかった。だが、それはたんにデリダに生政治的観点が欠けていたことを意味するものではない。本研究が仮説として立てたのは、生政治に対するデリダのスタンスを知るためには、デリダの動物論がその解答になっているというものである。これはさらに、政治的情動の問いを提起するものであり、この研究を糸口にして、デリダに特有の従来とは異なった民主主義論への視座を開くことができた。
また、補足的な活動としては、晩年のデリダの代表作『ならず者たち』の翻訳作業に協力しごその過程で、デリダの民主主義論の到達点を詳しく検討することができた。本研究の前提として日本語訳(鵜飼哲・高橋哲哉訳、みすず書房、2009年11月)刊行に貢献できたことは、本研究の進展にとって少なからぬ意義があった。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2009

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 脱構築はいかにして生政治を開始するか-デリダの動物論における「理論的退行」について2009

    • 著者名/発表者名
      宮崎裕助
    • 雑誌名

      現代思想 37巻 8号((依頼による寄稿))

      ページ: 142-155

  • [学会発表] デリダと動物2009

    • 著者名/発表者名
      宮崎裕助
    • 学会等名
      UTCPワークショップ
    • 発表場所
      東京大学駒場キャンパス
    • 年月日
      2009-07-31
  • [図書] ヨーロツパ現代哲学への招待(執筆部分「ジャック・デリダ-脱構築とヨーロツパ近代の臨界」)2009

    • 著者名/発表者名
      伊藤直樹・齋藤元紀・増田靖彦編
    • 総ページ数
      292(執筆部分:229-255)
    • 出版者
      梓出版社

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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