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2011 年度 実績報告書

中枢神経系障害における身体行為メカニズムの現象学的解明

研究課題

研究課題/領域番号 21720011
研究機関東洋大学

研究代表者

稲垣 諭  東洋大学, 文学部, 助教 (80449256)

キーワード現象学 / 身体行為 / 注意 / 運動 / 調整
研究概要

現在リハビリテーションという語は、骨折や捻挫といった整形疾患にとどまらず、中枢性疾患においても、あるいは各種心理療法や代替医療などでも頻繁に使用されており、むしろ過度に自由に使用できる飽和語となっている。その意味では内容をほとんど含ませないまま誰もが気軽に使え、しかも見かけ上の道義的・倫理的な価値ももたせることができる危うさを備えた代名詞の一つである。大抵こうした場合、世間一般への認知度の高まりとは裏腹に、リハビリテーションそのものの固有の内実とその展開可能性が問われないまま、放置されてしまう。本来そうした頻用度の高い語にかかわる際には、それぞれにおいてどのような臨床経験が実行されているのかが繰り返し現場に立ち返って吟味されねばならず、それがそのまま探究課題となり、しかもそれを展開可能になるように何度も練り上げる必要が出てくる。本年度はこうしたリハビリテーションの現状を考慮したうえで、臨床家が身体にアプローチする際の現象学的で、身体行為的な手がかりを明示することが試みられた。なかでも重要な身体行為メカニズムとして、行為実行システム、行為注意システム、行為調整システムという三つの異なる身体システムの特性について、経験科学的知見を参照しつつ、明確化できた。身体は、一枚岩のように統一的なシステム統制が取れているわけではなく、むしろ独立起動型のシステムが何重にも相互に間接影響を与えながら作動することが、結果として観察者には統一的な身体システムとして観察されるような特徴をもっている。ということは、身体にかかわる臨床的アプローチは、どのシステムに働きかけるのか、そして働きかけたシステムがどのような間接影響を他のシステムに与えるのかを吟味する必要があり、それがそのまま臨床の展開および患者とセラピスト相互の経験の進展につながるよう臨床プロセスが組み立てられねばならないことを意味している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 身体行為のメカニズム(2)-身体運動発現の現象学的機構をめぐって-2012

    • 著者名/発表者名
      稲垣諭
    • 雑誌名

      白山哲学

      巻: 46号 ページ: 135-159

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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