研究概要 |
平成21年度は、「野獣の主」概念、生業と信仰の関係などを再考察し、データベース構築の基盤を形成できた。本研究の基礎となる文献収集に加え、山形県・台湾・ラオスにおいて実地調査を行ない、国内外の学会・シンポジウムで成果の一部を口頭発表し、論文において成果を公刊した。具体的には次の通り。 ・東北地方の口承文芸に関する基礎的文献を収集した(『日本昔話通観』、『金田一京助全集』等)。 ・山形県真室川町で毎年旧暦10月15日(平成21年は12月1日)に行われる「お大日様」のご開帳を実地調査し、鮭信仰の現況を把握することができた。 ・国外では、台湾において原住民サイシヤット族のもとで焼畑・狩猟と信仰に関する聞書を行ない、記憶がまだ鮮明に保たれていることを確認した。ラオス北部ルアンパバーン州コクナン村タイルー族のもとでも、狩猟・農耕と信仰の関連を調査し、有意義な成果をあげることができた。 ・国内外の学会・シンポジウムとしては、挙げたものの他、環太平洋神話研究会・南山大学記念大会(名古屋:南山大学、2009年7月4日)、順益台湾原住民研究会(東京:日本大学、2009年8月6日)、International Symposium on Taiwan Studies : Past, Present, and Future(Sendai : Tohoku University,2009年10月25日)、国士舘大学アジア・日本研究センター/総合地球環境学研究所・里プロジェクト共催シンポジウム「アジアの焼畑から何が見えるか」(東京:国士舘大学梅ヶ丘新校舎、2009年12月5日)、「新世紀神話研究之反思」國際學術研討會(台中:中興大學、2009年12月19日)、比較神話学シンポジウムI「水の中の火」(名古屋:南山大学、2010年1月6日)、第3回東北シャマニズム研究会(仙台:東北大学、2010年2月4日)、東北シャマニズム研究会シンポジウム「シャマン的世界のリアリティをどうとらえるか」(仙台:東北大学、2010年3月27日)において発表を行ない、成果の一端を公にした。
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