本研究の目的は、「誰でもの祈り」としての高齢者・障がい者の聖地への旅行と、それを支える地域住民のボランタリズムから、「聖地らしさ(オーセンティシティ)」の現代的な多様性を宗教学の立場から明らかにすることである。3年計画の最終年度にあたる平成23年度は、1、バリアフリー対応等に係わるボランティア活動の実態調査および意識調査と、2、高齢者・障がい者の聖地旅行とボランタリズムの相互作用に見る「聖地らしさ」の多様性を総括することを計画し、以下の通り実績をあげることができた。 1では、当事者視点を重視するためNPO法人伊勢志摩バリアフリーツアーセンター専門員を研究協力者とした同行調査を2回実施した。1回目の北海道旭川市調査では、カムイ大雪バリアフリーツアーセンターが主体となって参加している旭川夏祭りでのUDみこしを同行調査した。2回目の岩手県平泉町調査では、世界遺産「平泉の文化遺産」のアクセシビリティを確認した。また、東日本大震災後の東北地方におけるバリアフリーツアーセンターを訪問調査した。 2では、平成21年度に実施したアンケート結果の分析と、3年間の現地調査を踏まえた総括として報告書をまとめた。 さらに、関連する成果として『ささえあいの神道文化』(弘文堂、2011)を刊行することができた。
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