研究課題
本研究は、これまで実施してきた19世紀東アジアにおける国際関係観念に関する思想史的研究をふまえ、「帝国」ということばをキーワードとして、近世日本知識人たちにおける世界観の転回を、一人の主権者(皇帝)を中心とする冊封体制から、複数の主権者が並立・共存する近代国家間関係へ転回として、とくに東アジアとの関連から明らかにすることを目的とするものである。22年度の研究においては、この「帝国」ということば、そして「帝国日本」という言説が、いかに18世紀末から19世紀中葉の蘭学者以外の日本知識人-国学者・水戸学者・儒学者-に受容されていったのかを通して、この時代における世界認識の転回を論じた。またこの検討を踏まえ、19世紀末の東アジアに伝播したこの日本発の「近代漢語」である「帝国」が、これらの地域-すなわち漢字文化圏-にもたらした国家観・世界観の変容をも考察し、2本の論文・3回の国際学会において発表を行った(内2回は招待講演)。論文「「帝国」の思想」においては、「帝国日本」言説を受け入れつつも、「帝国」ということば自体は、これを「翻訳語」として拒否した水戸学者の会沢正志斎を主題とし、彼が最晩年に至って「帝国」の語を用いるようになるその過程を明らかにした。また、同じく論文の「幕末維新期尊攘論における国際社会認識の転回-「帝国」言説をめぐって」では、大国隆正を中心とする国学者グループが以下に「日本帝国」言説を受容していったのかを明らかにし、その背後に存在していた伝統的な漠文脈の存在を指摘した。
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1910〓〓〓 〓〓 100〓:〓〓〓 〓〓〓 〓〓〓〓〓〓(韓日文化交流基金・東北亜歴史財団編)(ソウル・景仁文化社)
巻: 単行本 ページ: 3-53、韓国語訳:3-28
19世紀東アジアにおける国際秩序観の比較研究(吉田忠編)(財団法人国際高等研究所)
巻: 単行本 ページ: 111-128
http://www.sa1.tohoku.ac.jp/~kirihara/