研究初年度である本年(平成21年度)は、研究体制整備のための基本的作業として、全体の素地となる資料調査やデータ整理に主たる労力を投入した。まず、年度の当初に購入したコンピュータを用いて、二次文献情報の収集・整理作業を進めていった。さらに、国内出張旅費を用いて二度東京大学図書館に行き、資料収集を行った。東京大学内で所蔵されている文献を調べるとともに、ネットワーク上の情報サービスを利用して過去の研究論文についての文献情報を得、相当数の資料を入手することができた。加えて、英米圏で過去に刊行された学位論文のうち、本研究に関連があると思われるものを調べ、購入した。以上の作業を通じてまとめられたカッシーラー研究の二次文献リストは、暫定版であるが、webページ上に公開した(不完全未整理なものなので、今後とも拡充していく予定である)。今年度は国際エルンスト・カッシーラー協会の大会が開催されなかったため、大会参加のために計上していた海外出張旅費は、文献収集と研究上の相談を主たる目的として、ベルリンへの出張に使用した。ベルリン・フンボルト大学の図書館を訪問して、国内では入手困難な文献を確認した。また、カッシーラー研究の第一人者であるジョン・マイケル・クロイス教授を訪ね、研究テーマに関してアドヴァイスを頂戴した。
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