日本における朝鮮陶磁評価の特徴と展開について、主に1910年代~1940年代の朝鮮植民地支配期を中心に考察を行った。これまで柳宗悦ら「民藝」の枠組からのみ語られがちであった日本の朝鮮陶磁評価について、(1)浅川伯教・巧、山田萬吉郎ら在朝鮮の民間人による朝鮮陶磁研究と日本の文化人との交流、(2)朝鮮総督府など官立機関による朝鮮陶磁製作、(3)当時の日本の陶芸家による中国・朝鮮陶磁評価の特徴比較、さらに(4)植民地期の朝鮮人文化芸術界における朝鮮陶磁評価、(5)植民地解放後の韓国における朝鮮陶磁研究との比較を行った。これにより当時の日本における朝鮮陶磁評価が、植民地期特有の官と民、日本と朝鮮の多様な受容層による関係性により単なる日本の文化人と陶芸界の海外芸術受容に留まらず、独自の展開を遂げたことが結論づけられた。
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