麻生政権下の「国立メディア芸術総合センター」計画に反映されているように、わが国の漫画・アニメ・ゲーム文化のアーカイブ構築に対する要請が高まっている。明治大学では、漫画・アニメ・ゲームに関する一般に開かれた図書館兼博物館施設、仮称「東京国際マンガ図書館」を駿河台に新設すべく、準備を進めている。平成21年10月には、先行施設となる「米沢嘉博記念図書館」を開館した。本研究は、こうした施設計画およびその運用を背景に、漫画・アニメ・ゲームの収集と保存、および展示運用を行うための、基礎調査と技術の蓄積を進めるものである。 平成21年度は、漫画の原稿やアニメの設定画、レイアウト、原画、セル画、背景画等の資料を収集・保存法に重心を置いた。具体的には、トレスマシンによりセルに転写されたカーボンの退色を修復する方法、ハンドトレスによりセルに描かれた主線の摩耗を防ぐ方法、セル画と背景画や動画・台紙の癒着を防ぐ方法、セル画の展示運用に際して背景画と位置を合わせて額装する方法、セル画の展示運用に際してカーボンの退色を抑える方法、セル画や原画類の保管方法、セル画や原画類のデジタル化の方法や方式、原画類の担当原画家を特定する方法、原画類が競売等で流通する歳の様態および経路などについて、識者への聞き取りを中心に、現場の技術蓄積の現状調査を進めた。また、調査の過程で取得した資料を中心に目録の構築を進め、同分野の研究者や研究協力者との情報共有に資するべく、冊子にまとめた。
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