今年度は、ジャン=リュック・ゴダールの6年ぶりの新作『Film socialisme』(邦題『ゴダール・ソシアリスム』)が公開されたため、その精読・翻訳・注釈に多くの時間を費やし、その成果の一端は、12月の日本公開に際して発売された『ゴダール・ソシアリスム』の劇場パンフレットに、詳細な注釈を付したシナリオ採録という形で発表した。 また、カナダのレジャイナ大学で催されたゴダールをめぐる学会にて、9月17日に「ゴダールと強制収容所」と題した、ゴダールのキャリア全体における強制収容所というトポスの重要性と意義についての発表を行った。この発表を元にした英語論文はすでに提出済みで、Wilfred Laurier University Pressから出版予定の論集に収録されることになっている。 本研究から派生した「映画と写真」をめぐる研究に関しては、「映像の停止」についての小論を執筆したほか、7月7日に日本のドキュメンタリー作家・佐藤真の作品における写真の形象をめぐる研究の成果をパリ第3大学のサマースクール(夏期に開催される学会)にて発表した。
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