21年度の研究調査は(1)近年増加している音楽興行とその会場であるライブハウスについて、現地音楽興行に詳しい専門家(興行会社マネージャー、音楽ポータルサイト編集長)を招聘したヒヤリング会議の実施。(2)中国北京の音楽興行の現状とその設備、活用についての現地調査。の2点について行った。ヒヤリング会議では、これまでの中国における西洋音楽の歴史、発展、若者の音楽趣向の推移、興行会場の現状について意見交換が行われ、中国における西洋音楽浸透の現状が明らかになった。このヒヤリング会議の結果をもとに現地調査の対象を選定。音楽興行会場が集中している北京市東城区のライブハウスを中心に、会場規模、設備、活用方法について調査を行った。会場の規模、設備については日本と大きな差は見られなかったが、日本と比べて会場数が圧倒的に少なく、その運用方法に若干の違いが見受けられた。視覚的な演出については、コンテンツの不足から映像効果などは活発ではなく、旧来の音楽主体のスタイルによるライブがほとんどであった。この映像演出については今後大きく需要が見込める分野としての可能性が見られた。これらの調査結果として道具学会研究フォーラムにおいて「中国・北京におけるハコモノとしてのライブハウスの現状」として研究発表を行ない、これまで未知であった中国の音楽興行の現状、その進展と今後の可能性についての方向を示した。研究実施計画にある調査協力交渉については、興行関係代表者への協力依頼の打診、承諾は得たが、調査実施にあたっての対象者の選定については、現在も継続中である。
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