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2009 年度 実績報告書

文政年間刊の読本をめぐる江戸・上方間の書物交易〈本替〉の実態調査

研究課題

研究課題/領域番号 21720072
研究機関山口県立大学

研究代表者

木越 俊介  山口県立大学, 国際文化学部, 准教授 (80360056)

キーワード近世文学 / 出版流通
研究概要

1年目は資料調査とそのデータ整理を中心に行った。当初の計画より調査資料の点数は少なかったが、対象資料を絞り込んでいたため、効率のよい調査を行うことができた。その過程で『大坂本屋仲間記録』所収「裁配書」の記録から以下のことが判明した。
1・文化年間後半から文政期にかけて、記録に残されるだけで以下のものが、各地域の本屋仲間内での回覧の手続きを省略して出版を行っていること(タイトル・出版地・書肆名の順で記載)。
絵本浅草霊験記〈京〉塩屋長兵衛
絵本忠臣蔵後篇〈京〉扇屋利助
紀伊国名所図会〈和歌山〉河内屋太助
紀伊国名所図会二篇〈和歌山〉河内屋太助
感応清正真伝記初篇〈京〉倉橋屋四郎兵衛
双蝶記〈江戸〉河内屋太助
骨董集上篇上中之巻〈江戸〉塩屋長兵衛
新編熊阪説話〈江戸〉河内屋嘉七
朝夷巡島記〈江戸〉河内屋太助
景清外伝〈江戸〉塩屋定吉
里見八犬伝第二輯〈江戸〉河内屋太助
景清外伝松の操(後篇)〈江戸〉塩屋長兵衛
(後略)
2・1に該当する本屋は、大坂の河内屋・塩屋系統が多いこと。
3・これらの作品の中に、既に本替の対象となっていたことが明らかなものが複数含まれていること。
これらをふまえ、仲間内の回覧を省略する(これは、後に類板などで訴えられる危険性と引き替えである)理由の一つに、本替があると推測した。すなわち、本替というシステムにおいては、出版が予定通り行われないことや、出版過程においてトラブルが発生することが致命的となることがあり、これを回避するためであると考えた。裏返せば、読本の類板問題がそれほど多くはなかったこと、さらに発生しても多くは示談で解決できるレベルであったことを示しており、この面からも考察した(以上の研究成果は、2010年5月刊行予定の『江戸文学』42号に掲載が決定している)。

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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