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2010 年度 実績報告書

《文学》の生存戦略――戦時下日本語文学の再審に向けて――

研究課題

研究課題/領域番号 21720074
研究機関大妻女子大学

研究代表者

五味渕 典嗣  大妻女子大学, 文学部, 講師 (10433707)

キーワード近現代日本語文学 / メディア / 言論統制 / 自由主義 / デジタル・アーカイヴ
研究概要

本年度(2010年度)は、研究の離陸期と位置づけ、前年度までに構築した研究環境とこれまでの成果を踏まえた、(1)~(3)の活動を行った。
(1)前年度に引き続き、1930年代から第2次世界大戦期にかけての日本語による文学・文化言説にかかわる資料の集積と分析を行った。特に、日中戦争開戦以後の言論統制・用紙統制にかかる動向に着目、戦時体制下での雑誌編集・単行本出版が、いかなる環境・条件の下で行われていたかについて、資料に即した検討を行った。また、DVD資料として公刊された改造社資料等を活用し、出版用紙統制の主管官庁たる内閣情報局と、実務を担当した業界団体・日本出版文化協会の活動について研究をすすめ、その成果の一部を公表した。
(2)日中戦争開戦前後の<転向>と<抵抗>の様相に注目、世界的な反ファシズム運動が日本語の文脈にどのように紹介・移入されたかを検討するため、関連資料の収集と調査を行った。また、夏期休業中には韓国・ソウルへ出張し、「リベラリズム」をめぐる1930年代後半の思想的・文学的動向を踏まえて、当時の思想家や文学者・文化人たちの経験を現在の視点から再審する意図で、研究発表を行った。
(3)1930年代以後、戦時体制期を通じて活躍した文芸批評家・保田與重郎の業績に注目し、出発期の保田が、同時代の文学言説の場でヘゲモニーを獲得していく過程について検討した。また、従来は戦時体制のイデオローグとして評価されてきた保田の第二次大戦期の発言を取り上げ、<敗北>を自らの文学の主題としてきた保田が、現実の敗北が切迫する中で、自己にとっての<戦争>の位相を変化させていった様相を指摘する研究発表を行った。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] 社内文書は何を語るか-『改造社出版関係資料』への一視点2010

    • 著者名/発表者名
      五味渕典嗣
    • 雑誌名

      大妻国文

      巻: 42号 ページ: 171-187

  • [学会発表] 敗北への想像力-保田與重郎の敗戦前夜2011

    • 著者名/発表者名
      五味渕典嗣
    • 学会等名
      国際日本文化研究センター共同研究会「日本浪漫派とアジア」
    • 発表場所
      国際日本文化研究センター
    • 年月日
      2011-03-26
  • [学会発表] 『三田文学』の戦争2010

    • 著者名/発表者名
      五味渕典嗣
    • 学会等名
      第412回慶應義塾大学国文学研究会
    • 発表場所
      慶應義塾大学
    • 年月日
      2010-11-13
  • [学会発表] 危機の言説に抗して-「日韓トランスナショナル」のために2010

    • 著者名/発表者名
      五味渕典嗣
    • 学会等名
      東アジア文学・文化研究会国際ワークショップ
    • 発表場所
      韓国・成均館大学
    • 年月日
      2010-08-20
  • [学会発表] 言葉にとって<霊>とは何か-保田與重郎の言語認識2010

    • 著者名/発表者名
      五味渕典嗣
    • 学会等名
      昭和文学会第46回研究集会
    • 発表場所
      昭和女子大学
    • 年月日
      2010-05-15

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公開日: 2012-07-19  

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