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2009 年度 実績報告書

日本近代文学におけるアメリカのdime novelsの影響

研究課題

研究課題/領域番号 21720077
研究機関東海大学

研究代表者

堀 啓子  東海大学, 文学部, 准教授 (60408052)

キーワード尾崎紅葉 / 黒岩涙香 / Bertha M. Clay
研究概要

今年度、申請者はアメリカのdime novel作者のうち、Bertha M. Clayに焦点をあてた。そしてその廉価版小説と、明治を代表する作者・ジャーナリストである、尾崎紅葉および黒岩涙香の作品との対照を総括した。その詳細をまとめた拙論は下記の「翻訳文学総合事典」(大空社)に、それぞれ項をわけ、掲載している。
尾崎紅葉は、「読売新聞」に人気小説を連載していた人気新聞小説作家であった。とりわけ、その絶大な人気の背景にdime novelの影響が色濃いと思われる。よって、発表当時から不明とされてきた「金色夜叉」の原作が、Bertha M. Clayのoreaker Than a Womanであるという、申請者自身の研究内容をもとに、その細部比較をより具体的に、文体の問題を中軸に据えて、その異同を追求した。
次いで黒岩涙香については、外国文学の翻訳小説を数多く手がけながらも、あくまでも「翻訳」ではなく「紹介」にとどめることを明言し、それを実践しようとした、彼独特の手法を研究した。多々の外国作家を愛読していたなかでもとりわけdime novelistの、Bertha M. Clayを原作として多用した彼が、なぜこの作者の作品を日本人に「紹介」することを選んだのか。Bertha M. Clayの作品構成の傾向と、涙香がそこに上書きするように恣意性を含ませていった新聞人としての涙香の意図を明らめた。
上記の研究過程により、アメリカのdime novel(三文小説)が、日本の名文家によって時代を代表する名作へと再生産された、その背景としての翻訳や翻案のプロセスを、作家個人のものから読者受容を含めた時代全体の反映であることを検証した。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2009

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] 尾崎紅葉の『金色夜叉』~ストーリーテリングは時空を越えて2009

    • 著者名/発表者名
      堀啓子
    • 雑誌名

      翻訳文学総合事典(研究編) 5

      ページ: 343-354

  • [雑誌論文] 筆の魔術師・黒岩涙香~進化する翻訳2009

    • 著者名/発表者名
      堀啓子
    • 雑誌名

      翻訳文学総合事典(研究編) 5

      ページ: 334-343

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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