本年度の研究成果としては、「研究実施計画」に記入したように、国会図書館等において、研究テーマに関する資料の収集に集中した研究を行った。資料については戦前のものだけにこだわることなく、アテネ・フランセに何らかの言及がある資料に関しては極力広い範囲で集めた。集めたものの内訳としては、アテネ・フランセに通った生徒が執筆した手記、当時の教員の書いた文章、またアテネ・フランセという施設自体に関連する資料などについての収集を行なった。アテネ・フランセ関係の蔵書が旧日本近代音楽館蔵書として、現在は明治学院大学に所蔵されているとの情報を得たので、今後はそちらの方も調査・研究してゆく予定である。 また、明治以降の学校制度に関する研究も必要となるため、大学制度に関する文献を集めることにも力を割いた。このテーマに関しては、近年の大学制度の変容によって大学論が興隆している事情もあり、かなり多くの文献が存在する。また大学外の制度・研究所設置に関する議論も活発である。時代的には違うが研究機関というものについての考察を深めるため、これらを参考図書として集めた。特に、アカデミズムとインディペンデントな研究・学習機関との対比は戦前期のアテネ・フランセを見てゆく上で参考になると考えられる。教育・研究機関に関する論考や議論については、今後も継続的にチェックしてゆく。また、比較検討の対象とするため、東京大学(帝大)、慶応大学の各仏文科に関する資料収集も行なった。結果として、今年度は主に文学関係の資料が多く集まったが、今後は他分野関係の資料も集め、研究を進めてゆく予定である。
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