研究概要 |
本研究は、関連資料の総合的調査とその分析に基づく資料そのものに関する研究及び史的研究の2段階で構想されているが、開始年度である本年度は、本研究の基盤となる資料である『竹園抄』(和歌会に関する作法書)、『古今灌頂』(和歌に関わる伝授書)に関する資料調査とその検討を重点的に行った。『竹園抄』については、真言宗寺院に現存する伝本を含め20本あまりの伝本を閲覧・調査した。『古今灌頂』については、改変本であり興味深い図像資料を含む京都大学附属図書館蔵本他の伝本を中心に、8本あまりの調査を行った。和歌伝授に関する図像資料(座敷図等)については、財団法人正宗文庫所蔵の軸物1軸及び禁裏伝来資料についてもマイクロ複写等により調査を行った(上記資料については、現在も調査途上であるが、順次成果報告を行ってゆきたい)。また、上記資料の調査途上で、上記資料とともに併せて考える必要が生じた和歌伝授に関わる切紙類(和歌伝授の際の秘伝を記した資料)についても伝本調査と資料比較を行った。 日本古典の受容と変容、またそれと宗教勢力の影響関係に関するテーマは、在外日本研究者においても高い関心を寄せられている分野であり、上記の資料調査に基づく研究成果の一部(主として和歌伝授に関する図像資料及び切紙類に関する検討)をAssociation for Asian Studies(AAS)主催のAnnual Meeting 2010, Philadelphia, USAにおいて、Narihira and his Lover's Heart : Allegory of "Secret Teaching of an Insect"と題して報告を行い、併せて討議を行った。
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