研究概要 |
本年度は、本研究の検討課題の基盤をなす資料である『竹園抄』(和歌会の作法を記した伝書)、『古今灌頂』(和歌に関わる伝授書)に関する資料調査とその検討を継続した。『竹園抄』については、真言宗寺院に伝来した伝本を含む関連資料の閲覧・調査を継続した。和歌伝授に関する図像資料(伝授の際の座敷絵図等)や関連文書については、禁裏伝来の諸資料や堂上公家に伝来した資料群(久世家伝来本、三条西家伝来本等)について実物資料・マイクロ複写等により調査を行った。また、資料調査の途上で、上記資料とともに併せて考える必要が生じた和歌伝授に関わる切紙類(和歌伝授の際の秘伝を記した資料)についても、前年度に引き続き諸伝本の調査と資料の比較検討を行った(なお、切紙類に記された内容についての検討の成果の一部については二点の論文として成文化し報告した)。日本古典の受容と変容、また、古典受容に対する宗教勢力の影響関係に関するテーマは、在外の日本文化研究者においても高い関心が寄せられている分野であり、本研究に基づく研究成果の一部については、European Association for Japanese Studies (EAJS)主催の13th International Conference of EAJS, Tallinn University, Estonia,2011において報告を予定している。
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