研究概要 |
本研究は、関連資料の総合的調査とその分析に基づく資料そのものに関する研究及び史的研究の2段階で構想されているが、最終年度である本年度は、従来の調査に基づく情報や知見の整理を行い、その史的評価等についての報告を行った。また、『竹園抄』、『古今灌頂』、和歌伝授に関する図像資料(座敷図等)に加え、歌学伝授に際し授受された切紙類(和歌伝授の際の秘伝を記した資料)のうち、密教的世界観に基づき著された諸資料を相対化させる意味でも興味深い資料といえる中世神道に関わる知見に基づき作成された資料についても伝本調査と資料比較の範囲を拡大して概括的な調査と報告を行った。 日本古典の受容と変容、またそれと宗教勢力の影響関係に関するテーマは、在外日本研究者においても高い関心を寄せられている分野であり、上記の資料調査に基づく研究成果の一部(主として密教的世界観に基づく知識伝達の在り方とその思想史的意義、及びその史的展開に関する検討)を、The European Association for Japanese Studies(EAJS)主催のThe 13h EAJS Intemational Conference of EAJS,Tallinn,University,Tallinn,Estonia,2011において、Reading Genje ethically:traditional values,Confuciandiscourse,and the Tale of Grenjiと題して報告を行い、併せて討議を行った。
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