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2010 年度 実績報告書

ニューイングランド地方主義作家によるヴァンパイア表象研究

研究課題

研究課題/領域番号 21720093
研究機関奈良女子大学

研究代表者

中川 千帆  奈良女子大学, 大学院・人間文化研究科, 准教授 (70452026)

キーワードヴァンパイア / ジェンダー / セクシュアリティ / ロマンス / ゴシック / アメリカ
研究概要

平成22年度のニューイングランドの地方主義作家によるヴァンパイア表象研究においては、当初、「ヴァンパイアの害として誤解される病」の研究をする予定であったが、ヴァンパイア研究から逸脱した方向へ発展することが初期段階において予測できたため、ニューイングランドに限らず、現在、アメリカを席巻しているヴァンパイア表象を中心に研究を行うことにした。ニューイングランドの女性作家によるヴァンパイア表象においては、ヴァンパイアとされたものが家父長制のなかで女性に期待される像が内包する恐怖を描き、物語のなかでヴァンパイアに対する女性による告発がその女性像に対する反抗であることを分析した。このようにヴァンパイア表象に時代のジェンダーとセクシュアリティに対する概念を見ることがこの研究の主眼であり、それは今年度の研究においても持続された。今年度対象としたポピュラー・ロマンスにおいては、ヴァンパイアが女性にとって理想のヒーローであり、恋人として描かれており、映画をも含めて若年層に熱狂的な人気を博した『トワイライト』サーガとテレビ番組化された『トゥルー・ブラッド』(The Southern Vampire Mysteries)では、少女たちが目の前に現れるヴァンパイアたちとの初恋を経験し、成長の過程がヴァンパイアとの恋愛を通じて描かれる。恐怖を呼び起こすヴァンパイアの特徴-吸血行為-は、文明化されたヴァンパイア・ヒーローたちの自己規制によって抑制され、ヒロインたちは安心してヴァンパイアとの恋愛の成就へと進む。彼女たちが持つ他者の心理的侵入を阻む超自然的な能力は、男性に対する危機感の低下を示すものであり、同時にこれらのロマンスが富裕なヒーローと貧しいヒロインという古典的な構図のなかで描かれることを考え合わせると、ジェンダーの力構造の不均衡を受け入れたまま、それに対する危機感のみを失っているという問題のある状況を示していることがわかる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2010

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] New England Witches and Vampires : Invisible Magic and Malice2010

    • 著者名/発表者名
      Chiho Nakagawa
    • 雑誌名

      奈良女子大学文学部研究教育年報

      巻: 第七号 ページ: 61-69

  • [学会発表] Safe Vampire Heroes and Safe Sex in New Vampire Romance2010

    • 著者名/発表者名
      Chiho Nakagawa
    • 学会等名
      International Association for the Study of Popular Romance
    • 発表場所
      ブリュッセル、ベルギー
    • 年月日
      2010-08-07

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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