本研究は、これまでゲーリー・スナイダー、アレン・ギンズバーグなど男性が中心であった環太平洋文学(現代詩)において、「影」として扱われてきた女性詩人に着目することにより、環太平洋的な視点、ビートにおけるジェンダーなどの観点から、環太平洋文学の全体像を構築・検証することを目的とする。 女性詩人については、アン・ウォールドマン、ジョアン・カイガー、ダイアン・ディプリマ、ジェーン・ハーシュフィールドの四名の詩人の作品作家研究を行い、環太平洋文学に特徴的な女性像を構築することも目的とする。 全体計画として、環太平洋文学、ビート、ジェンダーの視点で4人の詩人の作品分析、現地調査、選詩集を出版することを設定した。 22年度は、4人の詩人の作品分析と調査検討および翻訳を蓄積した。共立女子大学非常勤講師の小川聡子氏の研究協力を得て進めることができた。翻訳の検討については、独協大学の原成吉教授のゼミナールの夏合宿に参加し、他の参加者より貴重な意見を頂戴することができ、翻訳原稿に反映することが可能となった。また選詩集に収めるインタヴューについては、研究協力者の小川聡子氏がサンフランシスコのダイアン・ディプリマの自宅を訪問し収録することができた。今後選詩集を作成するための翻訳原稿は、115ページ分まで蓄積することができた。研究成果の取りまとめ、報告書納品が4ヶ月遅れることとなった。
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