23年度において、4人のアメリカ現代女性詩人の翻訳を収めた『現代アメリカ女性詩集』を出版することができた。24年度のおいては、本著を検証し、作品分析の不十分な点をジェンダーとビート文学の視点で考察した論文「環太平洋文学における女性詩人の詩学」を作成し、シルフェ英語英米文学界学会誌『シルフェ』52号に掲載された。本論文では、環太平洋文学における詩学の特徴を時系列的な発展について検証を行い、女性詩人たちに共通する生命中心的な視点を前景化することができた。 25年度は、本研究の総括として、24年度の成果である「環太平洋文学における女性詩人の詩学」において、検証された新たな課題である、アメリカ女性詩人の第一期ヘレン・アダム、第二期のヘッティ・ジョーンズ、第三期のジャミ―・ポミー・ヴェーガの作品分析を行った。サンフランシスコ在住のジョアンカイガーとジェーン・ハーシュフィールドを訪ね、出版した著書のないようについて、検討を行うと同時に、謝金を活用して、インタヴューを収録した。インタヴューの内容は、ジョアン・カイガーについては、再定住や詩学、ジェーン・ハーシュフィールドについては、事物と想念の親和性、日本文学特に松尾芭蕉へのまなざしについてであった。インタヴュー原稿の作成に関しては、さらに謝金を活用した。研究協力者の小川聡子は、勤務先の授業で、『現代アメリカ女性詩集』をとりあげ、学生から評価を得ていることが報告された。環太平洋文学における新たな課題の一つである俳句文学について文献収集、検証を行い、国際文化表現学会第10回記念全国大会において、「アメリカ詩人における俳句(Haiku)受容」について研究発表を行った。
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