研究概要 |
本研究計画は、十九世紀アメリカ作家マーク・トウェイン(Mark Twain, 1835-1910)と、彼が生き、執筆活動、講演活動などを続けたその時代におけるニューメディアとの関わりを、多様な観点から再検討し、また周辺の文化、政治、歴史状況なども視野に入れつつ、彼の文学の再定義付けを行なうものである。最終年度である本年度においては、これまで培ってきた研究成果の公表というアウトプットを特に重視し、慎重に研究作業を閉じるという方向性で活動を行った。八月に最後の資料蒐集旅行を行った。主にニューオーリンズ大学附属図書館Earl K. Long Library、Louisiana State Museum、New York Public Library並びにMogan Libraryなどを巡り、貴重な資料を拝見し、最終的な研究方向の調整を行った。また日本比較文学会関西支部例会(4/21)にて口頭発表を行った際、第18回ASLE-Japan/文学・環境学会全国大会シンポジウム1「古典と環境」にて、シンポジウム司会兼コーディネーターとして口頭発表を行った際にも、前述した資料蒐集旅行での成果を生かすことができた。さらに、日本マーク・トウェイン協会『マーク・トウェイン―研究と批評』第11号に、書評を掲載した際、学術書『カウンターナラティヴから語るアメリカ文学』(伊藤詔子監修,音羽書房鶴見書店)に論文を掲載して頂いた際には、この四年間の成果を十分に生かすことができた。残る作業目標である、研究成果を総合的にとりまとめ、公表する手段であるが、やはり学術書というかたちをとるのが最もよい選択肢であろうと考えられるので、この四年間の成果を整理し、結論部の執筆段階にまで至っている。従って本研究計画は予定どおり十分な実績を示すことができたのではないかと思われる。
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