研究概要 |
本研究の主要な成果は博士学位論文 "Senses of History: Colonial Memories, Works of Art, and Heterogeneous Community in America's Asia-Pacific since1945"(南カリフォルニア大学、2012年5月)にまとめられた。この論文では、これまで表象分析的手法が主であったポストコロニアル研究に、アドルノや J・L・ナンシーといった美学理 論・感性論(エステティクス)の思想家の視座を導入し、制度化された国民主義や民族主義の「図式」を瓦解させ得る、抵抗の「共同性」への見通しを立てた。また、これまで「主流」と して分類されてきたオルソンやギンズバーグ、「アジア系」または「ディアスポラ」とされてき たチャ、トリン、そして日本語表現者である清田政信などを連関させて布置することで、文学・ 映像において戦後太平洋を切り結ぶ関係性に光を当てた。
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