本研究の目的は、19世紀前期に英米等で数多く出版された女性を読者対象とする年刊本(アニュアル)に最も多く作品が掲載されていた二人の女性作家(フェリシア・ヘマンズとレティシア・ランドン)について調査し、その作品を分析することによって、文学史上断絶したものとして捉えられがちだったロマン派からヴィクトリア朝への移行期に、女性作家が果たした役割を解明する一助となることと、同時に、アニュアルの特徴を体系的に整理することによって、研究対象年代における女性作家間の影響関係を明らかにすることである。 研究目的を達成するため、大英図書館から必要文献を取り寄せたほか、平成22年2月に渡英し、大英図書館にて必要資料を収集して、主にアニュアルにおいて両作家が果たした役割を分析・整理することができた。平成21年5月時点までの研究成果は、日本英文学会全国大会にて『十九世紀前期のアニュアルで活躍した女性作家たち-Felicia Hemans とLetitia Elizabeth Landon-』という題で発表し、それ以降の成果は、平成22年3月のブロンテ協会関西支部春季大会にて『シャーロット・ブロンテとリテラリー・アニュアル』という題で、後代の女性作家へ与えた影響を考察した発表を行う予定である。また平成22年3月には、研究対象年代の貴重文献を所有するサウスカロライナ大学にて、さらに文献を収集し、来年度の分析に備える予定である。
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