平成21~24年度の研究課題では、短編および中編の死後出版作品の特徴を明らかにし、さらにそれを平成18~20年度の研究課題の成果とからめて考察することによって、ヘミングウェイの死後出版作品研究の総括を行った。最大の成果は、1950年代以降のヘミングウェイが、新たな一面を開拓しようとする反面、全盛期だった1920年代の作品スタイルに回帰しようとする態度を指摘した点である。50歳を過ぎて突然、ニック・アダムズを復活させたり、処女短編集『われらの時代に』を彷彿とさせる短編群を書いた意図を明らかにした。
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